#「ありがとう」
企業に勤めていた頃、私が一番使わせてもらっていた取引先とのこと。
打ち合わせを終えてその会社を出るとき、支社長と課長と担当者が揃ってエレベーター前まで来てくれて、扉が閉まるとき深々と頭を下げて、見送ってくれていた。
それは、彼らの受け持つ営業エリアの中で、私は最重要人物のひとりだったから。
私の職場でのポジションが彼らにそうさせているだけで、私自身に価値があるかどうか別…ということを知っていたから、勘違いしないよう気をつけていた。
このポジションを離れたとき、彼らが同じような態度をとってくれるとは限らない。だから私は自戒の念を込めて、彼らよりも深く頭を下げた。
そして、肩書きなしでも、去って行く私の背中に向かってお辞儀をしてもらえるような人間に…自分はなりたいと思っていた。
「ありがとう」「ごちそうさま」と言って帰っていかれるお客様が、とても多いと感じる。
…で、思う。お店側の人間は、なぜお客様が「ありがとう」と言ってくれるのかをちゃんと考える必要がある、と。
この店のどこが「ありがとう」だったんだろうって。
たとえ、それが儀礼的なものだったとしても…考えた方がいい。
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