#Last song for you…14

風とともに入ってきて
メニューを見ずに注文し
いつもの席で静かに過ごし
「ごちそうさまでした」
と少し微笑んで帰ってゆく

会話はなく、もちろん賛辞もない

時には本を読み
時にはスマホを操作し…


毎週のように来てくれていたのに
今日気づいた


彼は、私



カフェが好きで
そこでひとりで過ごすのが好きで

誰かと話すのは仕事の時にたくさんしてるから
妻がいない休日は、誰とも話さず
ずっとひとり


この店をカフェとして使ってもらうことに

この上ない喜びを感じる


私たちに会いに来てくれたり

会話をしに来てくれるのも

もちろん嬉しいですけど


私たちが生み出した

空間

サービス

コーヒーやスコーン


そんなものたちを求めてくれるのって

親としての誇りのようなものをいただけます

自分より子どもを褒められる方が嬉しいってょ


言葉はなくとも

この人の行動すべてが私たちへの賛辞




私たちがいなくても

この店が続いていくのが理想です


「マスターに会いに…」って世界は

私にはなかったので

店主の顔なんて気にしたことなかったので

私は私の居場所を求めて、カフェを彷徨ってただけなので…



そんなやつがカフェをやると、こんな思想になる


店主の人柄が前面に出ていなくて
常連客と一見客を平等に扱い
居心地がよくて
美味しくて
イヤな思いをしなければ

そこは私が棲みつくカフェ


いつか私たちが店にいなくても繁盛するカフェを作ります




それにしても…



これからしばらく
スコーンは売れても、コーヒーを淹れる場所がない

ますます一杯一杯の仕事が、より貴重になってくる


…と、この人のアイスコーヒーを淹れながら



そう思った

物語舎

- Coffee,Scone & Third place -

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